水曜日, 6月 12, 2013

若冲が来てくれました

 盛岡に行ってきました。
 東日本大震災復興支援企画として、伊藤若冲を中心にしたプライスコレクションが東北三県を巡回しています。仙台に続き、現在は盛岡の岩手県立美術館で開催中。この後は福島に回ります。
 アメリカに渡ってしまいもう見られないかと思っていた作品が多数やってきました。これは行かない手はありません。東北の様子も気になっていたので、9日から一泊二日で行ってきました。
 展覧会の目玉は、若冲の「鳥獣花木図屏風」。ここではお見せできませんが、 「花も木も動物もみんな生きている」という副題の通り、実在、想像、肉食、草食、大きいものも小さいものも、様々な鳥や動物が画面一杯に色鮮やかに、生き生きと描かれています。
 東京に比べ、地方会場での展示は訪れる人が少なく、ゆったりとした気分で鑑賞できました。みな静かにゆっくりと見ていくのですが、最後にこの屏風の前に立つと、急に元気ににぎやかになるのです。描かれた多数の動物や鳥を見て、あれはなんだろう、これはあの動物かな、こんな描き方もあるんだね、様々な言葉が口をついて出ます。知らない人同士の間にも会話が生まれて、幸せな空気があたりに満ちあふれてくるのがわかります。
 プライス氏が、この絵をこそ東北のみなさんに見て欲しかった、とおっしゃったその意図がこの場に立つと心の底から実感できました。作品の良さもさることながら、この会場の雰囲気を味わえたことが最高の収穫でしたね。
 800円の美術展を3万円近い交通費をかけて見に行くなんて、昔は考えられなかったことですが、今回はなんのためらいもありませんでした。できれば、福島の会にもう一度行きたいぐらいです。
 みなさんもよかったら是非、行ってみてください。

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